シナリオ小話 第6回 モンタージュ

第6回目です。やはりTVや映画などを観ていて普通に感じる、けれどシナリオライターぽい話題がイイですね。ということで、本来は大変に奥深い「モンタージュ技法」について。

モンタージュ
(フランスmontage「組立て」の意)
1 映画で、撮影したフィルムの各断片を排列し、統一ある作品とすること。映画の編集、構成。カッティング。
2 映画や写真で複数の像や場面を合成して一つの画面とすること。また、その合成されたもの。

小学館「国語大辞典」より

モンタージュ理論というと、シナリオライターの中で必ず想起されるのが、エイゼンシュテイン監督のお名前と「戦艦ポチョムキン」ですね。ボクがこの映画を見たのは中学生の頃。その後、高校生、大学生、そしてプロになってから数回、観ました。が、率直なところ「モンタージュ理論てなに?」くらいに感じましたし、皆さんも、改めて言われると「なに?」と思うはず。
それほど現在では基本的になっているのがこの理論であり技法です。

有り体に言うと、モンタージュ技法もまた説明の一手です。しかも、どちらかと言えば後説。ドンドコと付け足していく。

少年「アハハハハ」
 と楽しげに笑う
尻もちをついた少女、まくれ上がったひだスカートを押さえている

ずばり、これがモンタージュ。
最初のカットでは少年が何を楽しげに笑っているのかわからない。
次のカットで、少女が転んでいるのを笑っていることが解る。
最初に少年が揶揄するようにカラカラ笑っているものだから、少女が自分のスカートを押さえている現状の心情も知れる。
―――とまあ、あまりに当たり前のこういうカット回しのことを「モンタージュ技法」と呼ぶわけです。

さてさて、TVなどを観ていて「これモンタージュだろう!」と思う瞬間は、やはりドキュメンタリー番組や報道番組ですね。

ニュースの話題は、たとえば、日本のある地域の干ばつを報じていたとする。ここでは、キャスターの顔が映っている。
VTRに切り替わると、いかにも日本ではなさそうな地平線の見える大地、ひび割れた赤土の地面が映る。―――ご丁寧に「資料映像」などと左上隅に書いてある。
さらにVTRが切り替わって、中国あたりの株式市場。素早い動作で指示を出しているトレーダーの姿が映る。
さらにVTRが切り替わると、とあるアフリカの内戦の続く地域の難民キャンプの映像を映す。
ダメ押しに、旧ソビエト連邦の内戦風景で、ドーンと中型戦車が発砲する瞬間の煙幕。
カメラがスタジオに戻ると、キャスターが一言、こう言う―――「ある専門家によりますと、このような現象はより規模を拡大するだろうとの見方もあるそうです」

文章では少し難しいのですが、ニュース映像なんかを想像できましたか。
何だかまるで、地球規模でボクらを取り巻く環境が致命的なダメージを受けているような印象を受けませんでしたか。
でも、あくまでもニュースが伝えたのは日本のある地域における雨不足であり、キャスターが代弁したのは(誰が何について言及したかわからない)専門家のほんの一言。

この組み合わせから、視聴者に一定の心理効果と情報の理解を与えるのが、モンタージュの怖いところです。
「キミはつまり、世界気象は異常化していると言いたいのか?各国の食糧市場は混乱し、世界は破滅に向かうと言いたいのだね?」と問うと、おそらく制作者は「そんな意図はありませんよ?どこでそう言いました?」と開き直るでしょう。
カットの組み合わせから、視聴者の想起する内容が決定づけられる、だなんて難しいことを言ったらまさにその通りなのですが、要するにボクたちは前後の叙述や映像から‘勝手に’理解する生き物なのですから、それを利用するのが「モンタージュ技法」であるわけです。

キング牧師の有名な演説シーン、ガンジー師が糸車を操る映像、イエズス・キリストの磔の絵画、そしてAさんの演説風景、彼が刑事事件で告訴された事実の報道。

ヒトラーの鬼気迫る演説、ナチス・ドイツのパリ進駐の映像、オウムの浅原氏の説法、そしてAさんの演説風景、彼が刑事事件で告訴された事実の報道。

Aさんってどんな人ですか?

まさに!シナリオライターの思い上がりです!が、Aさんをどのように紹介できるか、それはボクたち脚本家と演出家と編集者の意のままであったりします。
モンタージュを探してみましょう♪
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by genmuki | 2007-10-04 00:24 | シナリオ小話
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