<   2008年 08月 ( 3 )   > この月の画像一覧

ひさびさに商業作家 おおやぎ の雑記とか・・・

とっても久しぶりに幻夢騎の雑記、特に今では個人サークルとなった おおやぎ 個人の雑感にすぎない文章ですが...

原恵一監督脚本の「河童のクゥと夏休み」に号泣!!!

劇場公開からはおよそ1年遅れですが注文してたDVDでようやく届いた本作。今年の夏は「崖の上のポニョ」も劇場で拝見しましたし、児童向けアニメの本当の素晴らしさに心を打たれるこの頃です。
「河童~」は、特に演出・美術と音楽に感激して、それこそ2時間少しの間にどれほど涙を流したか分かりません! 久々にウウウッと声を上げて鳴咽してしまうほどの作品に出会いました♪
視聴しながら『なんて洗練された脚本に絵コンテなんだろう! ボクももっともっと修業して、いつしかは脚本家としてこんな演出さんや美術さんと組んで仕事が出来れば言うことがないのに!』と思っていましたが、原監督が脚本も演出も手掛けられたとのこと。全体のリズムをお一人の感覚で統一されたからこその空気感なのかと思うとますます尊敬いたしました。「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」シリーズをまさに髣髴とさせる内容に納得★
「クレヨンしんちゃん」の「戦国大合戦」に大号泣!の おおやぎ、やはり原監督はフリーなのに本当に素晴らしいお仕事をされていると感激しました。「河童~」の原作は児童文学であり茂木さんの遺作、最後に手掛け続けたクゥのシリーズです。

ボクのような商業作家には、上にあるクライアントさんからの企画こそ生命線ということで、とかく最近は「萌え」だの「燃え」だといったキーワードに接する機会が多く、テレビアニメやバラエティ番組からは距離が出来つつPC美少女ゲームの脚本を担当させて頂くことが多い今日この頃ですが、こういった原先生や宮崎先生の作品に接すると、脚本と映像の世界の持つ純然たる「力」に感激ひとしお。やはり自分はまだまだ若いので修業に修業を重ね、とにかく何とか生き抜いていつしか皆さんと共に真に感動できる作品に携わることがしたいと思わされます。
・・・もちろん今でも幸いながらにこちらからお願いすることなしにクライアントさんからそれぞれ素晴らしい作品に招聘頂いている身、それだけれでも分不相応で与えられたフィールドや企画の中で精一杯に脚本や演出をさせて頂かねばと思っていますが、本当の本当、自分のまだまだ長い商業作家人生のまだまだ先で構いませんから、次世代を担う若い若い視聴者のために何か作品をひとつだけでも残したいですよね。

こと美少女系のキャラクターに毎日接しており、脚本のみならず、美術・絵コンテ・演出・CGとお付き合いさせて頂いておりますと、やっぱり隣の芝は青いと言いますか、『ああ、結局自分の世代、自分自身として描いて残したいのは、自然であったり絆であったり―――ボクたちを取り巻いて今も生かしてくれているこの社会と自然の全てなんだなァ』と思い知らされます。
そこには今風のキャラクターだとか派手なCGエフェクトなんてものは必要ないって気がします。ただ純然と真摯に作品世界に向き合う気持ち、そこに作家が込める愛情。

~~~自分はまだまだそんな世界観や想いを作品世界に残すほど精進しておりませんから、まさに「いつしか」の話ですが・・・本当にいつしか、意気投合する仲間と共に実に美しい世界を描きたいと思います。
そういう世界を描くということは、多分、仕事がどうとか締め切りがどうとか条件がどうとか、そういうことを超える作家の仲間・同輩に恵まれてこそだと思います。そのためには自分が脚本家として本当に真摯に作品世界に向かい合うことが必要なのだと思います。お金とか条件で一緒にお仕事をするか否かは商業作家の重要な領分ですが、いつしかそれを超えた時にひとつの作品を世に残すのでしょうと、そう思います。
感動し号泣できる作品に出会う度に、自分の未熟を思い知らされます。今しばらくはまだまだ未熟で青い作品をそれでも精一杯に書かせて頂いて精進したいと思います^^
[PR]
by genmuki | 2008-08-31 02:31 | 幻夢騎

シナリオ小話 第45回 31の誤り

今日は新井一先生の著書「シナリオの基礎技術」からの引用で、アメリカの脚本家マリオン女史が「シナリオ講話」の中で指摘した「初心者のおかしやすい共通の誤り」を紹介したいと思います。丸括弧内は新井一による注釈、括弧内はおおやぎによる補足。
(「シナリオ講話」は昭和13年に邦訳されて刊行されましたが、増刷や復刊の予定はないとのこと。古書としてしか入手できないことは残念な限りです)

※意味合いが近いものをおおやぎの判断でまとめ順序を変えています。

1.ストーリーの映画的材料の不足
<要するに映画/映像化するまでもない内容だということでしょうか>

2.書き出す前に十分に練れないこと
(構成、人物等の知識の不十分なこと)
<勢いで書いてみることも大切ですが、ここでは技術的/技能的な推敲/校正がないこと>

3.弱すぎる葛藤、従って、弱いクライマックスになる
<解決すべき事件や主人公にまつわる問題/葛藤を扱わないとそもそもドラマになりませんね>

18.主題が最初では暗示されながら、途中からなくなってしまうもの
(スタイルの不統一)
<途中から物語の方向性がブレたり主題/主張が変わるものはいけません>

25.アマチュア作家は、書き直しや削除する気になれない
(自分の作品を客観視できないこと)

27.歴史、地理、植物、動物、時代の細部について不注意と怠慢である

―――これらは脚本を書く姿勢というものになるでしょうか。きちんと準備調査し・構成し・内容を吟味する努力を怠ってはいけませんということですね。もっと言えば、その場のノリだけで適当に書くな、書いたままにするな、ということでしょう。


4.抽象的な表現
(ト書の文学的心理的表現)

5.スクリーンに表したいと思う通り完全に表示していないこと

6.セリフの使いすぎ
(視覚的表現の欠如)
<映像脚本をライトノベル風に書くとこうなりがち>

7.長すぎるセリフ
(長ゼリフ)

16.作中人物自身がいわないで、彼がしようと期待するものを語るのに数十枚を費やす
(聞いたか坊主など)
<少しややこしいことですが、要するに、誰が何をしようとしているのかといった行動指針や価値観は分かりやすく明瞭に示す必要があるということです>

17.人物の具体的外観を、写真のように微に入り細にわたり描写するもの
(過剰ト書)
<アニメ系で異常によく見かける光景です。脚本家が脚本に書くべきでもなく、セリフで言わしめるべきでもない内容です>

30.時間経過が無神経である

31.セリフと動作の関係に注意していないもの。例えば、「入らないで」と叫んで、サリーはドアに鍵をかけ、窓という窓をしめ、閂をかけ、屋根の落し戸をかたく閉めた
(現実の時間とドラマの時間の不一致)
<つまり、「入らないで」と叫ぶのに1秒、なのに彼女の全行動を1秒では到底描写できないということです>

―――これらは脚本の基礎的な作法の問題です。何度も言う通り映像脚本は最終的に映像になって視聴者に届けられますので、その脚本が映像化できないものであればそもそも脚本として致命的だということです。


8.主要人物の過去にさかのぼりすぎたストーリー
(人物のまぎれ、ファーストシーンの出方)
<いわゆる設定オタク的なシナリオはやたらと人物の過去や家族構成に言及しがち>

10.どの人物が主要人物なのかわからない
(登場人物の軽重)

11.主人公が読者に充分に売られていない
(人物の描写力不足)

14.動機づけのないもの
<思い付きだけで動いている人物たち、前後の行動や言及に矛盾のある人物たち>

28.行動を支配する報告を人物が奪われている
(あと説)
<人物の行動指針や価値観を視聴者に示すことなく行動させている場合には要注意>

―――これらのことは主に人物の動かし方と示し方に関する事柄です。脇役に目をやりすぎたり、思い付きの行動を面白い!と思って書いてみたり...とかく脚本家には誘惑が付き物です(笑)


9.セリフに差別がなさすぎる
(人物の類型化)
<各人物の価値観を明確に、なおかつ立ち位置を明らかにしなければなりません>

12.人物が多すぎて混乱を招く
(読者が、一時に明瞭に注意が集中できる数は限られている、といっていますがいい示唆です)

13.明瞭な目的なしに人物が現れては消える
(人物の出し入れ)

24.配役の制限に、初心者は注意を払わない

29.名前が似ているので混乱する
(ミツとミチのようなもの)

―――これらは主人公を取り巻く人物を設定/登場させる際におかしやすい誤りですね。確かに脇役と呼ばれるキャラクターは便利なのですが、安易に使っていませんか。


15.観客がうけつけないほどの人間性を欠く人物のあるもの
(説得のない異常人物)

19.人物の感情の反応が、観客の受け取り方と違う場合
(ひとりよがり、またはまぎれ)

20.感情を叫びつづける。極端な残虐、苦悶、殺戮のシーンを書きたがる。凶暴な動作や言葉がつねに劇的でない
(対立の誤り)
<残虐表現に限らず、ただ作者が描きたいと思っている断片的表現だけをやみくもにパッチワークするのでは、ドラマは成り立ちません>

21.独創的で感情的であろうとする努力が、スクリーンに現された場合、リアリティのイリュージョンを全然欠くことがある
(ひとりよがり)
<リアリティに欠けるということ>

22.観客が納得しないもの。観客の知性に逆らってはいけない
(ひとりよがり)

23.初心者のストーリーが、リアリティのイリュージョンを与えるのに失敗するひとつの原因は、重要な動作に導いて行く出来事が省略されているから
(事情のないこと)

26.観客に殆んど親しみのないセッティング(環境)を使いたがる傾向がある
(絵柄からの執筆)
<そのような現場を設定すると説明が必要となったり弊害が多い>

―――最後にこれらのことはほとんどが作者の『ひとりよがり』に関する内容です。
・ごく一般的な視聴者の感じ方や知性に対して誠実でなければなりません
・人物の感情や現場の描写は極力常識的であるべきです
・基本的なモラルや正義・良識を尊重しましょう
 ということでしょうネ♪

今回はこれを紹介するだけに留めますが、そのうちフランセス・マリオン「シナリオ講話」の内容も少しずつ紹介していきたいと思います^
[PR]
by genmuki | 2008-08-21 03:42 | シナリオ小話

あくまでものんびりと(*´∇`*)

c0125626_4421499.jpg
最近これまた知人のサークルでプランナーさんというか企画の中心で音頭をとっておられた方が抜けたと聞きました。このプランナーさんが抜けて2ヶ月ほどでほとんどのメンバーさんに連絡が取れなくなり、メンバー相互の連絡用に使っていたBBSも一昨日にアクセスできなくなっていたとのこと。
是非とも新しくて若い方々に、ゲームやらCGストーリーやらノベルやらの、この自由な制作の世界に飛び込んで来てもたいたいなァと思いつつ、やっぱり上手に行かないところもあると・・・頭では分かっているんですが淋しいですね。
ボクと同じくプロ業界でようやく10年のキャリアを数えたこの知人がそれでも参加したサークルさん瓦解で、「何だかこれだったら商業の仕事だけしてる方が当たり前で、チャレンジしようとか綺麗事言うのも馬鹿馬鹿しくないですか?」とお電話くださると・・・心が痛むばかりで、けれど自分では何とも言えません。月並みに「そーゆーサークルさんもあるよ。けどきっとそのうちに良い仲間も見付かるサ~」なんてことしか言えませぬ。。。
うちの個人サークルだってまともに前に進んでるのかと言えば疑問符「???」ですけど、企画とかを途中で投げ出してBBS消してフェードアウトしようとだけは思わないですね。やっぱり何か作ってないと沈んじゃう鮫みたいな人種なんですものねえ(苦笑)。

ただ最近、この知人含め、あまりにもプロ系の同輩から声を聞くのが、「若い方々が異様に偉そうじゃないか?」ということ。幸いボクはそういう風に感じたひどいお人との出会いは今のところないのですが・・・だから「そーかな?」と思うんですが。。。

ゲームシナリオで10作を超えるキャリアを持ちながら、その履歴を特に説明せずに同人サークルに入れてもらったら、「シナリオの書き方がわかってない」と素人扱いされたとか、、、
映像畑の知人ですが、彼はキャリア23年の中年戦士、自主制作映画のサークルさんにヘルプで入って脚本の添削をお手伝したところ、元の脚本家さんに、「シナリオが分かってないからクラブを脱退してくれ」と言われたらしく、後に判明したのは相手が20歳だったということとか、、、

あぁぁぁ・・・ 『謙虚でいなさい』とボクは何度も先輩たちから教えられましたけど、10年・20年を超えるプロを相手に、素で「分かってない」と言える方々の勇気に乾杯すると同時に、きっとその姿はほんの少し昔の自分の姿なのだろうなァと思い猛省です。
キャリア10年・20年の同輩・先輩方もまた、新しい可能性と成長を求めて、同人ゲームサークルや自主制作映画のクラブに自ら参加されているのかと思うと、やっぱりボクも頑張らないといけません。

最後はやっぱり、「同人頑張れ!若い人は特に頑張ろう!」とエールを送って。
自分自身へのエールでもあり、自戒でもありますね♪
[PR]
by genmuki | 2008-08-09 00:41 | 幻夢騎