<   2009年 05月 ( 2 )   > この月の画像一覧

シナリオ小話 第63回 適した解説者

不定期連載にしてから久々の投稿です^^;
先般、知人のライターさんからこのようなご質問を頂きました。

「アクション物やスポーツ物の『技』なんかで、どうやったらその“凄さ”が伝わるんだろうねー」

・・・非常によく分かります!
脚本を書いていて、いわゆる“凄い”事象に出くわすことがあると、ボクも同様に、どのように表現しようかと困りますよね(汗)

単純にセリフで「すごい!」とか言っても単調だし、小説のように、それがどのようにすごいのかを論理的に説明するわけにもいかないし・・・

そこで、登場人物の「ハク」や「位置付け」を利用して視聴者に説明する方法を考えてみたいと思います。

ここに株式を分単位で取り引きして一日に巨大な利鞘を生み出すデートレーダーの主人公がいるとします。

「今日のアガリは・・・3500万か」

―――こんな主人公のセリフが出てきても、視聴者にはそれが凄いことなのかどうか、パッと聞いて分かりません。この物語で扱われる金額の規模もまだ分かっていませんし、主人公がまったく一匹狼なのか巨大トレードグループなのかも分からないから、この数字を何とも評価できずにいます。
明らかに素人であろう友人が「すごいじゃないか!」と言ってみたところで、主人公が「そんなに喜ぶことじゃねーだろ」なんて言ってしまえば、視聴者は「あ、凄くないんだ?」と思ってしまうかもしれません。

そこで利用するのが、同じく株取引を行うプロフェッショナルを出してくる方法です。

「今日のアガリは・・・3500万か」
「な、何だって! 俺のシグマグループですらアガリ3500って言ったら幹部級だぜ?!」

・・・シグマグループが何なのか、幹部級ってどれくらいエライのかはさておき、なんとなーーーーく、「へえ、凄いことなんだ~」と感じてしまうはずです。
さらに、

「今日のアガリは・・・3500万か」
「3500だって! 俺たちシグマグループ25人でようやく出せる数字じゃないか! それをお前はたった一人で・・・?!」

直接「凄い」とは言ってませんし、やや説明的にはなりますが、やはり凄いことだとは分かり易いかもしれませんネ♪

世の中には、常人から見ると十分に凄いように見えてもその世界ではわりと普通、ということがあります。
たとえば台風の強さなどはまさにそうではないかと思います。

台風がくると強風が吹き荒れひどい雨になります。
おおよそ台風の直撃を受けると「凄い!」と思います。
・・・では、『強い台風』と『そうでもない台風』をどうやって区別すればいいのか、という問題になります。
そもそも台風というものは桁外れに勢力の強い低気圧のことですから、小型の台風だって凄いことは凄いのです。「凄い雨!」「凄い風だ!」といくら言ったって、歴史的な大型台風の説明にはなりっこありません。
TVの天気予報をインサートして「未曾有の大型台風26号は・・・」とさせても良いのですが、何となく客観的で実感がわきません。

そこで、たとえば台風を専門とする老気象学者を登場させて「こんな台風、ワシですら一度も見たことない!」と言わせるとかですね、かつての室戸台風を経験した古老に「室戸台風の時ですら倒れなかった御神木が!」などと叫ばせて巨木を倒してみるですとか―――つまり、その『凄さ』というものを説明できる人物なりオブジェクトなりを複合的に使ってみる手法が有効ではないでしょうか。

スポーツキャスターが「タイガー・ウッズは天才だ!」と言うよりも、ジャック・ニクラウスが「タイガー・ウッズは天才だ!」と言う方が、いわゆる「ハク」が付いて強烈です。
キャスターが事実の説明として「この技を習得するには普通は10年以上の修業が必要と言われています」と説明するより、すでにその技を習得している先達が「私ですら12年かかったところを、彼女は3年でマスターしてしまった!」と言わせる方が分かり易いです。


・・・あと、これはちょっと余談ですが。
最近、PCゲーム関連のお仕事をしている際、この上述の第三者による「私でさえ」流の説明を用いようと努めていたところ、監督さんからは逆に「主観的な言い方で何となく勝手、もっと言えば雰囲気だけで客観的な事実がない気がする」というようなご指摘を受けたこともあります。そもそもが超常現象のファンタジーなのでなかなか客観的な説明というのは難しいと思いますが・・・と言葉を濁して逃げる おおやぎ と、「凄い!」「信じられない!」「とんでもないことだ」とストレートに表現してもらった方が視聴者に易しいとする監督...結局は監督に従いましたが、なるほど世の中にはそういう向きもあるのだということだけは、頭の片隅に入れておく方が良いと思います^^
「適した解説者」とは書きましたが、確かにそのような人や物からの解説ですら説明的すぎて適さない場面もあるはずですから。

初出 Mixi 拙連載より 2009.05.15
[PR]
by genmuki | 2009-05-27 10:42 | シナリオ小話

小説版他には関わっておりません

立て続きGWから以降に3通のメールを幻夢騎のメアド宛てに頂いたので(同一の方なのかもしれませんが)、
僭越ながらこちらにも記載を・・・^^;
スタジオメビウス様の「SIN」という作品について確かにテキストライティングを担当させて頂いたのは事実で、
それはスタッフロールにも記載されていると伺っておりますが、
原作およびその後の小説版などには関わっておりませんので、
小説版や続編についての個別のお問い合わせについては、おおやぎではなくメーカーさんにお願いします(汗)

どういったメールだったかということを簡単に書きますと、
「小説版の内容はゲームのサイドストーリーなのか?」ということと、
あとは追記みたいに「続編はいつ出るのか」みたいな内容を頂戴されてございましたが、
幻夢騎・おおやぎの方では小説版には関知しておりませんし、続編については
メーカー様との秘守義務契約も行っておりますので、知ってる・知らないを含めて
回答するのは適当でないと考えております。悪しからずご了承下さい...
[PR]
by genmuki | 2009-05-12 03:18 | 幻夢騎