今年の2月に、漫画家の「三顕人」とコラボレーションして『熟痴女接待』なる新作をリリースしましたが~~…
――― 実は「コラボ」なんていうほどのことでもなく・・・ 友人同士、そこはごく気楽に、「何かデジタルでいっちょう作ってみましょうか♪」というノリで話していたんです。 そうこうしているうちに忘れていたダメな おおやぎ。 そんなところへ、三顕人さんがいきなりコミックのネームを送ってきて、おおやぎ 大慌て! 「もッ、もちろん忘れてなんてないっスよ! 大丈夫です、任せてください。ちゃんとデジタルコミックのアプリケーション、考えてました!」 ・・・もちろん、何も準備していない おおやぎ。 心強いプログラマ兼スクリプト職人であるビクセン氏にさっそくメッセージ。 『汎用のコミックビュアーを組もうと思っています。仕様書書き上がっているので、見るだけ見てもらえませんか。うんぬん・・・』 ・・・もちろん、仕様書はメッセージ送信後に書きました。 「これくらいの仕様だったら、ちょうど待ち時間だったので数日で組んじゃいますよ」と心強い返答にも、 (やばいぞ… こっちはまだシステム画像すら考えてないんだ…) という状態で焦る おおやぎ。 ―――と、まァ! 結果として、この「汎用コミックビュアー」は3日でベータ版まで組んだんですよね! あとはリリース前にちょこっと機能改善して一応の完成。 ・・・で、前置きが長くなってしまいましたが。 同じコミックビュアーを用いて、今回はさらにボリューム(ページ数)を増やした新作を準備中ですので、 三顕人のねっとりキャラがお好きな方はぜひともお楽しみに!! ![]() #
by genmuki
| 2011-07-12 16:21
| 幻夢騎
PCゲームの案件で、シナリオの主にテキストワークの中で「レイアウト」なんて指示する機会があるだろうか―――あるとすれば、そもそも絵師ではないライターはどうやって内容を伝えればよいだろうか―――という知人のご質問に答える形で、実例を(一部はネタばれしますのでモザイクで)アップしたいと思います。
そもそも、シナリオにおいては、書く文字の内容は、絵(画:え)を前提としたセリフなりナレーションなりのものです。・・・つまり、先に絵がなければ、どんなセリフも動作も、それがどういう場面であってどういう意味を持つのかが明確ではありません。 そのためシナリオライターは、ぼんやりではあっても(或いはシナリオテキストとして記すとしても)、そのセリフなりナレーションなりが『どのような場面で誰がどういう表情/動作でそう言うのか』といったことを想像しておかねばなりません。 ―――そのために、マルチョンでも構わないと思いますので、必要に応じて簡易な絵は示して共有できると良いと思っています。 (ご覧の通り、私にはまるで画力というものがありません…) とにかく、自分なりに思った風景をできる限りの絵(画:え)でもって伝え、あとは矢印だの記号だの文字だのを書き込んで、『私が想像しているシーンはこんな感じなのです。どうでしょうか?』と示せると良いのではないでしょうか。 ―――これらは表に出ることもないのだから(制作者間での打ち合わせメモなのだから)、下手な絵でも描いて必死に伝える努力、一緒に考えましょうよ!という姿勢こそが大事なのではないかしら。 ![]() ![]() #
by genmuki
| 2011-05-26 23:51
| 幻夢騎
(以前にもこの雑記帖に報告していた通り)
学習型のローカルメールフィルター「Popfile」を導入してから SPAMの処理がずいぶんと楽になったのですが、 久しぶりに統計を見てみると50万メール処理を超えていたので、成績発表です。 分類精度 分類されたメール数: 506,715 分類エラーの数: 542 -------------------------------------------------------------------------------- 精度: 99.89% (最後のリセット: Mon Nov 16 12:20:39 2009 ) 分類されたメール数 バケツ 分類数 誤検出 見逃し normal 47,848 (9.44%) 141 202 spam 458,706 (90.52%) 132 340 unclassified 161 (0.03%) 286 使用しているバケツ(分類先)は単純に2つ、SPAMであるか否かで分けています。 なかなかの精度に育っていると思います。 学習1ヶ月目あたりから十分に分類が出来て現在に至るって感じです。 ・・・ただし、ほんの時々、仕事関係のメールもSPAMに入っていて見落としていたりするので 最近では、メールでやり取りするお相手のメールアドレスを予めマグネット登録しています。 それでも一部のメールがSPAMに分類されるのですが、逆を言えば、これらのメールは 50万件を処理して そのうち 0.11% に相当する「SPAMメールの特徴」を持ち合わせている??? 特定のキーワードでSPAMに引っ掛かることの方が多いのでしょうけど、自分でメールを送る際にも そういったNGワードには気をつけないといけないってことですね^^; お相手がプロバイダのSPAM除去サービスに入っておられる場合、同じようにSPAM扱いされてしまうでしょうから... #
by genmuki
| 2011-04-24 18:44
| 幻夢騎
今年の抱負として(抱負を語るには遅くすでに2月ですが・・・)、私信めいたエントリーです...
(古くからの制作仲間の皆さんにしか分からないこともあったりですが、海外にいる仲間もおられるので近況報告としてぇ・・・) 今年こそは、過去作とか、過去に手掛けておきながら今だに日の目を見ていない作品群を一通り、このサークル「幻夢騎」できちんとリリースしたいと思っています。 幻夢騎の基本は『お互いにプロ活動するお仲間が空き時間を持ち寄って何か出来ればいいですね』というものなので、その点は相変わらずですが... それでも、数年前に企画したものもありますし、何年も制作を進めているものもあれば、企画・構想としてだけのものもあります^^: (といっても、うちの場合の“構想”というのは、頭の中だけのものではなく、企画書や設定資料などをお仲間と分かち合ってから、『こんなの作れればいいですよね』という相談は済ませたものなのですが・・・ ←それでも数年間は放置なの!?) 2009年にリニューアルし「新訂版」としてシステム開発の俎上で作り直した『斬羅鬼』ですが、アレも実はまったく別の企画からのスピンアウトで、しかも『斬羅鬼』本編とでも呼ぶべきものがあった上での、さらにスピンアウト・・・(ややこしい) ―――つまりは、『斬羅鬼 -ZARAKI- ~平安京異録~』として2006リリースした内容は、本当は元々に別の作品構想があって、そこから派生した“検非異使”イメージがあって、その“検非異使”イメージから別の作品を作るつもりで準備を進めていたものの、2006年時点ではその“外伝”みたいな―――いわば後日談の短編集を形にしたもの。...なのです^^; (あーあ、言っちゃった・・・。でも、ちゃんと『斬羅鬼』本編も、あるいはさらにその親になった世界観の作品も制作中ですよ・・・) てな具合で、本当に、「出来たところでリリース」という勢いの凄さというかいい加減さというか・・・ですよね^^; サークル「幻夢騎」は、上述の通り、『古くから付き合いのあるフリーランス仲間がお互いの空き時間を持ち寄って、何らかに時間を有効に利用でき、その上で何かの形のある作品がひとつでもふたつでも出来ればいいですよね』といったスタンスにあります。 ここまでの活動の経験から言えば、やっぱりその・・・ これまでのお付き合いがなく新規でお付き合いが始まった方々との協業成功率は、50%も無いです。何事にも“最初”はあるんですが... ですので今年も長い目で見ながら、これまでひとつずつ情報や思いを共有して制作を進めてきた小さな片々をつなぎあわせ、ひとつでもふたつでも“作品”の形にしてリリースできれば良いなァと思っています^^ #
by genmuki
| 2011-02-07 08:39
| 幻夢騎
2011年、あけましておめでとうございます♪
一昨年の2009年は、『斬羅鬼 -ZARAKI- 新訂版』と、そのフリーソフト版の公開で手一杯。 昨年の2010年は、『汁まみれの放課後』と『汁まみれのCG集』をリリース、年末にはパッケージ版も出してもらいましたが、実質はこの1タイトルのみ。 ―――私・おおやぎと仲間の皆様のそれぞれの本業の空き時間を利用して制作を進める自主制作のサークルとしてはこんなものかもしれませんが、なるほど幻夢騎タイム!と思わせる ‘ゆっくり’ぶりです。 そして勿論、今年もゆっくりとやっていきます!^^v 関係者の皆様、制作仲間の皆様、今年もどうぞよろしくお願いしますm(_ _)m 今年は、できれば早々にはデジタルコミックを専用ビュアーアプリケーションと一緒に出して、手もとに素材が集まりつつある読み物も形にして・・・あとはオリジナルのADVゲームや育成ゲームなんかを引き続きちまちまと制作し続けていこうと思います。 遅くても、リリース時期が未定でも―――投げ出さない、空中分解しない、諦めない。 今年も幻夢騎タイムでゆっくり着実にやっていきたいと思います。 ・・・本業では得手勝手できないので、技術的にチャレンジしたいこととかを、お仲間と集まってちまちま挑戦・実践できる活動の場として、サークルは大切ですよね♪ #
by genmuki
| 2011-01-13 15:41
| 幻夢騎
ふと知人とメッセンジャーで話しており、PC向けのゲームシナリオの容量の話になりました。
ご存知の方も多いかと思いますが、最近のPCゲームシナリオは、文章量や仕事量をテキストファイルの容量で計算することが多いです。出来上がったテキストファイルの容量に応じて対価を受け取るという方式です。 しかし、このテキストファイルの容量というのが、実は、いかにも曲者ではないか?と思っています。 ボクは元々が映像の畑で脚本を学んでスタートしていますので、多くのシナリオが台本/脚本形式になっています。 比して、昨今、ノベル形式という小説ベースの書き方が多く見られ、そろそろ単純なテキストファイル容量の計算はやめた方が良いのではないか?と疑問に感じ始めています。 ―――なぜなら? 容量計算だと、たとえば、余計なセリフのやり取り・絵を見れば分かる内容のいちいちの説明・冗長な描写その他、いわば容量稼ぎと思われるようなコトを“した方が”稼げるからに他なりません。 もちろんのことながら、小説文体による描写や文章表現の巧みな部分が存分に生かされることは素晴らしいですし、そもそも動きの少ないPCアドベンチャーゲームの現状を考えると、文章で十分に表現や想像力を補い/喚起していく努力は必要です。 ・・・けれど。 アニメーション演出やスクリプト上での複雑なCG処理による視覚効果が入れば入るほど、シナリオのテキストファイル容量というものは減っていきます。 つまり、演出を行うデザイナーやプログラム進行を扱うスクリプターが優秀かつ頑張れば頑張るほど、シナリオライターの報酬は少なくなるわけですね。 社内の仲間ならそれも良いでしょうが、ノベル形式を意識して推敲を重ねた文章そのものが「それは視覚効果で表現するのでごっそりカットオフします」と言われたらどうでしょうか。 また、もうひとつの視点として。 少し昔は、多くの現場で、あまり容量のことを言いませんでした。 最近になって容量のことを言うようになったもうひとつの理由は、ボイス(音声)が入るようになったからです。 ボイスが無かった時代には、テキストが多ければ多い方がボリューム感があって良いとされたこともありました。 しかし、ボイス収録もコストに直結する現在、あまりに多くボイスがあることが必ずしも喜ばれるわけではありません。そういった場合には、ボイスつまりセリフを減らし、ボイスには関わりのない説明文を増やしてボリュームを確保するようにとも指示も実在します。 ボイスが増えることのもうひとつの問題は、データが巨大化して、CD-ROMやDVD-ROMの容量に入り切らないことから生産コストが肥大化することです。 こういったことから、ボイスの数を一定範囲にとどめ、なおかつ、そのシーンのテキスト容量も指定された容量に合わせるといった技術が要求されるようになりました。 これは、少なく書くことも多く書くこともできなければならないということに他なりません。 ・・・ちなみに、ボクはおおよそ多く書いてしまうタイプなので、いつも容量を削る作業が生じてしまいます。 しかし、容量単位で給与を頂く立場であるので、自分で書いたものの容量を自分で削ることほど切ないものはありません―――自分の稼ぎを自分で減らしているようなものだと感じることがあるからです。 駄文や不要な表現は削除すべきですし、水増ししてまで多く対価を受け取るべきではありませんから、このことは当然です。当然ですが・・・精神的に「どうしてだろう?」と自問してしまう切なさはご理解頂けると思います。 さらに、より重要なことに。 シナリオという作業をなさった方々が多く疑問に思われるかもしれませんが、プロットや詳細な指示を受け取ってから書いたテキストも、自分なりに物語をイチから考えて書いたシナリオも、なぜかしら現状では等しくテキスト容量に応じて計算されています。 つまり、アイディア・技法/筋立て・そもそもの創作部分が、テキスト容量計算の陰に隠れて完全に無視されています。 また逆に。 “原作”に相当する人物が他にいる場合でも、「シナリオライター」という単独の名目でスタッフロールに掲載されたことでもって、この人間が設定や筋立てを作った張本人であると勘違いされている現状もあります。これでは“原作”の方に失礼ですし、責任や実績に基づく名誉の所在も明らかではありません。 洋の東西を問わず、テレビや映画の映像メディアでは、「原作」と「脚本」は別の人間であり別の専門性であることが認識されており、スタッフロールにも別に記載されます。海外の特にアニメ映画などを見ると「Story Artist」等の表記で5人10人の名前が並んでいることもあります。 キャラクター別に担当する脚本家が違ったりするのは、PC美少女ゲームなんかと事情が似ていて、面白いですね。 そろそろ単純な「シナリオの容量計算」を改めて、 ・どの程度の規模の作品を ・どの程度の容量を使って書くのか こんなことを打ち合わせた上で、1作品あたりいくら、というスタイルに戻してはどうかと思うばかりです―――昔はずっとこうでしたから。 文字による表現が少ない名作も多く存在します。 文字表現が多く長編であるからこそ支持される名作もあります。 テキスト容量の大小=文字の多少で、ゲームシナリオライターの仕事の価値を図るようなやり方は、そろそろ限界かもしれませんね。 最後、その証左に。 かつてとても有名な文学賞を受賞した小説家から脚本家に転向した先輩がいらっしゃいましたが、その方は―――小説ではあらゆる文章表現が校正され添削の対象になるが、脚本では筋立てと作劇内容が判断されるので非常に楽であり、現実、かつての労力の半分で収入は何倍にもなった、とおっしゃっていました。 また別の見方では、ジュブナイル小説で売れっ子となった元シナリオライター同輩は、容量を指定されて書くゲームシナリオでは何も自由にならなかったが、小説を書くようになって、ページ配分から表現の分量までようやく自分の思い通りになったと喜んでいました。 容量が作品の価値なら、長ければ良いのか。 けれど、あまりに読み応えのない少ない文章量でどれほどのものが描けるのか、顧客はそれで満足してくれるのだろうか。 ・・・容量計算の前に、作品そのもののあり方が問われる、難しい問題ですね。 初出 Mixi 拙連載より 2009.10.18 #
by genmuki
| 2010-08-21 15:09
| 幻夢騎
ちょっと数日バタバタしましたが、ようやく無事に公開へとこぎつけました^^
毎度の如く、多くのダウンロードサイト樣が、ほぼ即日・翌日に登録して下さって、公開体制はバッチリ♪ ダウンロードサイト樣、いつもいつもありがとうございますm(_ _)m ダウンロードサイト樣の作品ページには体験版も掲載されていますので、まずはサクッと体験版をダウンロードして遊んでみてやってください。 今回のアプリは、ちょっとゲームとは風合いが違いますが、そこに生かされているのは完全にゲーム制作のノウハウですので、幻夢騎クォリティを楽しんで頂けばと、また同時に、幻夢騎の作品の細かい部分の出来・不出来についても厳しい目でご覧になって頂ければと思います。 正直に言ってしまえば「絵だけ公開するのじゃなんでダメなの?」っていう気持ちもないわけじゃないんですが、やっぱり、ちゃんとソフトの形になってることを大切にしないなァっていうのが根底にあるんだと思います。これはもう、そういうこだわりっていうか、結局、ソフトを企画して設計して組み上げていくっていう超面倒臭い過程が、実は嫌いじゃないからだと思います。汗 やっぱり、ちゃんと動くタイトル画面があって、そこからきちんとエピソードの中に入って行けて、画面にはちゃんとインフォメーションがあって、ていうのが良いですよね^^ そして、色々な操作性の部分に試行錯誤を繰り返して設計し、小さな部分の演出や見え方にも気を配ってみて、と作り込んでいくと、本当に勉強になりますし、そうして勉強してキチンと作り込んでいくのも、うちの皆は結局は“好き”なんだと思います^^; またぼちぼち、今回のアプリで使った技術なんかについても書いていきたいと思います^^ あ、そうそう。 今回のアプリに使った 「マウススクロール」 という機能を吉里吉里用のプラグインにしています。 画面の右にマウスカーソルが行けば、絵がそっちの方向に自動スクロール。 画面の下にマウスカーソルが行けば、今度はそっち方向に自動スクロール。 ・・・で、もちろん斜めにも動きます。子レイヤーも設定可能です。スクロール速度の制御も細かいです。 こんなプラグインも、同じ自主制作ゲームの制作者の皆さんに無償配布していますので、よろしくお願いします。 (体験版のドキュメントなんかでも、このプラグインのダウンロードについてご案内しています) #
by genmuki
| 2010-05-19 01:22
| 幻夢騎
![]() 『汁まみれの放課後 ~委員長さらさちゃん~』 ようやくタイトルも決まり、目下、公開を準備中です♪ 幻夢騎のインディーズレーベルで出てくるものとしては、珍しく、ゲームではなく「アプリケーション」としてみました。 使っているのはPC用ゲームの技術で、BGMにボイスあり、マウスで操作するアプリケーションなのですが、「ゲーム」と言ってしまうと物語があって選択肢やコマンド入力があって分岐していって・・・というイメージになってしまうと思いますので、あえて「汁まみれアプリケーション」と名付けてみました^^ 元々はインタラクティブCG集として企画したものです。FLASH対応で考えていました。 しかし、この間、『斬羅鬼 -ZARAKI- 新訂版』で、吉里吉里ベースでプラグイン開発をしたりと検討を繰り返してきて、しかも、吉里吉里の中でFLASHも使えるということになってきましたので、FLASHで組んだ部分も吉里吉里内部に組み入れて、吉里吉里ベースのWindows用アプリケーションに落ち着きました...☆ 元より 「ぶっかけ系で死ぬほど汁差分があるCG集を作ろう!」 という内容だったので、 『汁まみれのCG集 ~委員長さらさちゃん~』 も、同時公開します。 そのために準備に時間がかかっているのですが・・・^^; マウス操作によるフルボイスのインタラクティブ要素なんて要らないよ・CG集でいいよという方は、こちらを楽しみにしていただければ嬉しいです♪ #
by genmuki
| 2010-05-10 19:42
| 幻夢騎
おおやぎ推薦図書&映画
「ボルト」 2009 ディズニー ボルト [DVD] 動物が主人公として活躍するタイプの旧来からあるスタイルの活劇ですが、今回、特筆してお勧めしたい理由は、その「美術背景」にあります。 3Dアニメーションの映画でありながら、メイキングでも説明される通り、可能な限りに2Dつまり手書きの美術背景をいかに利用していくかに注力した画面作りであったというのです。 3Dでは、「光」は均一なものとして扱われ、また、それぞれの地形や街の表情に対して、コンピュータが算出する「光」は、均一で、なおかつ普遍のものである―――このことを脱却し、それぞれの街や地域に即した独自の “光の色合い・表情” を表現すべきか熟慮した。・・・その結果が、デザイナーが各地を実際に訪れ、街や地方によって異なる “光の味” を実際に体験することによって描き分けたというのですから、美術背景のあり方においては、非常に素晴らしい試みをなさっていると思います。 前回の「トレジャープラネット」に関するレビューでもひっそりと書いた通り、背景美術がコンピュータグラフィックスになって以来、色合いは統一され、画一的となり、美術背景なるものは、“難無くそれと分かる範囲で表現されるべきもの”に成り下がってしまったと言っても過言ではありません。緑で表現されれば樹木の葉、茶色で表現されれば土や砂、といった具合です。 ・・・しかし、実際の風景には、地域によって光線の具合があります。―――「智恵子抄」において、高村の妻が、「東京には空がない、阿多多羅山の上にあるのが本当の空だ」と称えたように。 ニューヨークの街区における光とか何か? ネヴァダやミネソタ、カルフォルニアにおける光とは何か? ―――そういったことを、今作ではデザイナーたちがとことんまで突き詰め、表現しているといいます。 単なる3D映画に付随する遠景の美術として見るなら、このような点には注目すべきではありません。 しかし、メイキング画像でスタッフが非常に誇らしげに語っている通り、美術背景が意識されるようであれば失敗であり、「まず、視聴者はそれと意識しないで見ていただろう」「それが我々の目指したところなのだ」と語る通り、3D全盛の現在であるからこそ、アナログ美術家の醸す世界観は重要なのだと感じさせる作品です。 3Dアーティストの方にも学ぶべき点が多い本作ですが、翻って、2D美術家の方にこそ参考にして頂きたい作品であります^^ 光が射し、影が落ち、全ての世界は色合いを持つ。 ・・・日本のアニメもゲームも、そのような美術に支えられてこれまでの発展を遂げたはず。 ただ、光があり、影があり、色がある。 改めて2度目に視ると、“ジャパニメーション”を遥かに凌駕したアナログの世界観に触れるでしょう良作です。 #
by genmuki
| 2010-03-31 07:05
| 推薦図書&映画
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